第47章

「うっかり落としちゃった」

大島莉理は、つるりとした手首に目を落とした。

田中尚哉が食い下がる。

「どこで? 戻って探したのか?」

「病院で落としたに決まってるでしょ。ああいう場所は人も多いし、誰かが拾ってそのまま……ってこともある。私が戻ったところで、見つかるわけないじゃない」

ユンチー・ベイへ戻る途中で、莉理はもう手首の空っぽに気づいていた。

それでも引き返さなかった。

必要ない。失くした直後は多少の違和感があったが、たった二時間でブレスレットの存在自体を忘れてしまった。

結局、代わりの利かないものなんて、そう多くはない。

それに、あのブレスレットは安物だった。素材も良...

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